山行記録inフランス
モンブラン山群



トレッキングルートよりシャモニ針峰群

山域 モンブラン山群トレッキング
日時 6月19日発〜6月27日帰着
参加者 大迫 淳一
目的 モンブラン山群トレッキング
報告

6月19日 日本発(福岡より航空機にて移動)
6月20日 ロンドン着、同日ロンドン市内観光後、同地泊
6月21日 ロンドン発→パリ着(ユーロスターにて移動)
同日パリ市内観光後、同地泊
6月22日 パリ→シャモニ・モンブラン
朝5時ごろ 起床し、出発準備に取りかかる。
ホテルは駅から歩いてゆけるところにとったし、列車の出発時刻までは
十分に余裕があるが、何があるかわからないので、早めに起床した。
早すぎるのでホテルの朝食はまだ準備されていない。
手早く準備を整え、当直のお兄さんにチェックアウト手続きをしてもらい、
「オールヴォアール(さようなら)」と言ってホテルを後にした。
ちなみに今回の旅ではフランス国内でもほとんど英語を使った。
フランス語は全くと言っていいほどわからないので、
その他には、「ボンジュール」、「メルシ」、「シルブプレ」ぐらいしか使ってない
が(というかそれぐらいしか使えない)、ほとんどのところでは、英語が通じた。


6時前 リヨン駅に到着した。
この駅はパリ南部にあり、フランス南部、南東部方面への列車の発着駅である。
とても立派な面構えの駅だ。
大きな時計塔が特徴的である。出発前までまだ時間があるので
駅構内のパン屋でパニーニ(イタリア風のサンドウィッチ)と、コーヒーを買い、
そばのテーブルで朝食を食べる。
まだ朝早いが、さすがに大きな駅だけあって人の往来は結構多い。
列車出発の大きな案内板をさっきから見ているが、
まだ出発番線が表示されていない。
今は「この番線からこの番線までのいずれか」というような意味の
表示しかされていないのだ。
日本での感覚とだいぶ違うのでとまどってしまう。
しばらく椅子に座って待っていると出発の30分くらい前になってようやく
出発番線が表示された。
重たーいザックを背負ってそちらへと向かった。







7時10分

リヨン駅を発車。
フランスが世界に誇る新幹線TGVである。
乗ったのは2等車。
座席は2列×2列である。シートの広さは日本の新幹線の自由席よりちょっと広いかなというぐらいでさほど変わらない。
ちなみに1等車は3列でシートが結構広いらしい。
出発してからしばらくは在来線なのであまりスピードを出していない。
日本の特急と大して変わらない速度である。
しかし30分しないうちに専用線に入り、時速300km?で走り出した。


窓の外はすでに田園風景である。 車窓より
畑であったり、牧草地であったりだが、やはりどこか日本と違う雰囲気がある。
実に広々とした丘陵地が続き、山らしいものが全然見えない。
ときどき目にする住宅もいかにもヨーロッパって感じで洒落ている。
ヨーロッパに来たんだなあと改めて実感しながら、時間を過ごした。
10時15分 ベルガルデ駅着。
といっても今フランスのどの辺りなのかよくわからない
(後で地図で確認したら、シャモニのかなり近くだった。
さすがにTGV、速い)。ここでTGVを降りて乗り継ぎの列車を待つ。
11時 ベルガルデ駅を発車。
今度乗ったのはローカル線の急行列車みたいなものだ(もちろん2等車)。
再び丘陵地の中を走る。時々駅に停車するが、
その雰囲気は如何にも田舎の駅という感じでよい。そうこうするうちに、
ようやく山間部に入ってきた。
こうなると日本での車窓風景に近い感じである。
12時35分 サン・ジェルヴェ駅着。
ここでさらにシャモニ行きの列車に乗り換える。
今度は真ん中にラックという滑り止めのギザギザの第3レールがある列車である。
12時45分 サン・ジェルヴェ駅発。ここからはだいぶ速度が遅い。
ゴトゴトと急な坂道を上っていく。
しばらく渓谷沿いを進むと、待ってました、
モンブラン山群が見えてきた。きたきたきたーっ、これこれ。
ついにきたよという感じである。
さらに進むと奥の方に鋭い岩峰が見えてきた。
あれはドリュに違いない。もう、うれしくてしょうがない。
13時27分 そしてようやくシャモニ・モンブラン駅に到着。
駅を出て目抜き通りを歩き、まずホテルに向かう。
ほどなくホテル「クロワ・ブランシュ」に到着。
「ボンジュール」と挨拶してチェックインし、
3階の部屋に向かった。広々としている。
シングルを頼んだはずなのになぜかツインだ。バスルームも広い。
早速荷物を降ろし、必要なものだけを持って外に出た。
今日の目的地はエギーユ・デュ・ミディの展望台、もし時間があれば
その先のエルブロンネルの展望台だ。
ミディへのロープーウェイの駅はホテルから歩いて10分ほどである。
切符売り場へ行き、今日中にエルブロンネルまで行って帰って来れるか
聞いてみた。返事は「今日中には帰って来れない」。ということで、
ミディまでの往復切符を買い、ロープーウェイに乗った。
シーズン前のはずなのだが、混雑している。
中には日本人の観光客もちらほら見える。ロープーウェイが動き出した。
あっという間にシャモニの町は下になり、シャモニ山群がどんどん近づいてくる。
10分もせずに中間のプラン・ドゥ・レギーユ駅に到着。
ここでさらに上に向かうロープーウェイに乗り換える。
ミディの岩峰がどんどん近づいてくる。
右下にはボソン氷河が見える。
生まれて初めて見る氷河だ。
日本で見る雪渓とはやはり全然違うなあ。クレバスだらけだ。
まもなくミディの駅に到着した。
岩にくり貫かれたトンネルを通り、
エレベーターに乗って展望台の一番高い所に着いた。
周りにぱーっと絶景が広がった。

まずは、グランド・ジョラス北壁だ

ここからは壁をほぼ真横から見るようになる。
ここからは小さくてその大きさが今ひとつ判らない。
カメラの望遠レンズで覗いた。まさに絶壁だ。
こんなところを登る人を尊敬してしまう。
現在の技術(と言ってもエキスパートの領域だろうが)では、
必ずしも困難な壁ではないらしいが、あんなところに登れるようになるには
どれだけのトレーニングを積み、
日本でどんな岩場をクリアできればよいのだろうか。
私からしてみれば圧倒的に近寄りがたい雰囲気を感じるが、
一方でどこかに「登ってみたい」という夢のような気持ちもある。
その右には針の様なダン・デュ・ジュアン、


真下にはヴァレ・ブランシュの雪原が広がっている。
                               シャモニの谷


その右上にはモンブラン・デュ・タキュールだ。
モンブランは今は雲の中で見えない。
とにかく写真を撮りまくった。そのうち雲が切れてきた。

モンブランが見えた。高い。まさに白い山である

白い山モンブラン
まんまるとしていて他の岩峰とは対照的な柔らかい雰囲気である。
しばらくの間、それらの山々を何度も何度も見て過ごした。
多分1時間ぐらいはそうしていたと思う。
とにかくその場から離れたくない気分だった。
しかしそろそろ戻らないと。名残を惜しみつつ、展望台を後にした。
シャモニへ戻ると、ガイド組合へ向かった。
明日の予定を立てるための情報を得るためである。
ガイド組合は「山の家」という建物のなかにある。
今回、当初はメール・ド・グラス氷河を歩き、
レショ小屋辺りまで行って、
グランド・ジョラス北壁を間近で見るのが目的であった。
ガイド組合の職員に一人でその行程が可能かどうか聞いてみた。
答えは「クレバスがあり、一人では危険だ」。
ある程度予測をしていた答えだったが、ここで無理して怪我でもしたら
何にもならない。あっさりと予定を変更し、
易しいルートをトレッキングすることにした。
そのことを話すると、職員が上の階で地図を売っているから
それを参考にして行き先を決めるのがよいが、
簡単なルートでも一人はお薦めできないと言われた。
随分慎重だなあ、でも理解はできる。
すぐに上の階へ行き、地図を買った。
日本からも5万分の1の地図は持ってきていたので、
ここではトレッキングのルートが判りやすく描かれた物を買った。
何故か日本語でも案内が書かれている。
この地図を見て、明日はまず、
ロープーウェイでエルブロンネルまで行ってモンブランの南面を見て、
それからプラン・ドゥ・レギーユまで戻り、
ここから歩いてモンタンヴェールへ向かうことにした。
ガイド組合を出ると、すぐそばのサン・ミシェル教会に入った。
こぢんまりした教会である。
私は別にキリスト教徒ではないのだが、何か神頼みしたくなったのだ。
席に着き、正面の祭壇を見ながら、
「明日は安全な山行きができますように」とお祈りした。
次にスーパーマーケットに行き、
明日の行動食等を買った。中をあちこちうろうろしたが、
行動食になりそうなものがなかなか見つからない。
やっと袋入りのサブレとあめ玉が見つかった。
それにミネラルウォーター(日本では売ってないヴォルビックのレモン味)
1リットルを買った。
ホテルの部屋に戻り、夕食を食べに下に降りた。
席に着き、ウェイターの兄ちゃんを呼ぶ。
メニューを持ってきてくれた。
英語とフランス語が並記されている。
しかし、英語も料理の単語は良く判らない。
かろうじて前菜は「アボガド」が判ったのでそのサラダ、
主菜は「ポーク何とか」というのが判ったのでそれを、
最後にデザートは「チーズの何とか」と書いてあったのでそれを注文し、
ハーフボトルのワインも注文した。
さてこれからが結構ハードだった。
まずアボガドのサラダ。大きな皿にいっぱい盛ってある。
ほんとにこれで一人分か? 
それをなんとか食べ終わると、次は主菜のポーク何とかが出された。
たまげた。厚さが3センチはありそうなポークステーキだ。
とんでもないものを頼んでしまった。
味はいける。しかしでかい。
途中でウェイターの兄ちゃんが寄ってきて、
片言の日本語で「オイシイ?」と聞くので、
「美味い。でもぼくには大きすぎる」と答えると、笑っていた。
それを何とか平らげたが、とどめはチーズだ。
ちょこっとしたものが出てくると予想していたのが、またまたとんでもない、
チーズ3種盛りだ。もうだめ、苦しい。
欧米人の胃のでかさを尊敬する。でも何とか全てを食べた。

部屋に戻ると、まず風呂に入り一日の汗を流した。
広々とした浴槽なのでお湯を溜めて浸かってもいいのだが、
いつもの烏の行水でシャワーで体を洗っただけで終わりにした。

クーラーが無いので結構暑い。
標高が1000mくらいあるのだから寒いくらいでも良さそうなのだが、
パリより少し涼しいかな、というくらいだ。
とっとと明日の準備を済ませ、寝た。22時ごろだった。
が、ときどき暑くて目が覚めた。



6月23日 シャモニ→プラン・ドゥ・レギーユ→モンタンヴェール→シャモニ)
ロープーウェーが動き出すのが8時ごろからなので、
今日はゆっくり起きた。こちら(ヨーロッパ)に来て初めてゆっくりと朝食を食べる。クロワッサン、フルーツ、ヨーグルト、コーヒーと、
自分にとってはとても贅沢な朝食だ。
今回は氷河を歩くつもりでいたから、
ピッケル、軽アイゼン、靴は重登山靴を持ってきていた。
が、ハイキングのような行程になったので、ピッケルとアイゼンは置いて、
行動食、フリースのジャケット、雨具、コンパス、地図、カメラを
小さなザックに詰めて出発した。
ハイキングならつらい思いして重登山靴を持ってくることはなかったなあ。
昨日と同じようにロープーウェイの駅に着いた。
何か掲示が出ている。どうもトラブルが起きているらしい。
とりあえず切符売り場へ行ってエルブロンネル往復の切符をくれと言ったら、
ミディまでは行けるがそこからエルブロンネルへは今へ行けないらしい。
いつになったら行けるのかと聞くとここでは判らないと言う。
しかたない、モンブランの南面は是非見たかったのだが、あきらめよう。
プラン・ドゥ・レギーユまでの切符を買った。
昨日と同じようにロープーウェイに乗り、
プラン・ドゥ・レギーユに到着。
ここで駅の外に出て、登山靴の紐を締め直し、9時15分に歩き出した。
しばらくシャモニの谷向かう坂道を下る。
前後には外国人のトレッカー、そして偶然だが日本人のツアー客が
これまた日本人のガイドさんに連れられて歩いている。
天気は最高に良い。
仰ぎ見るとシャモニ針峰群。
日本ではほとんど目にできないような、
鋸の歯のようなまさにエギーユ(針峰)が連なっている。
天気も最高だが、気分も最高。
下り道が水平に近い道に変わる。
こりゃー登山とは言えんな。
これを登行記録と言っていいのだろうか。
いつものひいひい言って登る山行きとは雲泥の差でらくちんだ。
あちこちにきれいな花が咲いている。
赤、黄色、薄紫などなど。
しかし花にはほとんど興味がないため、名前が判らない。
とりあえず写真を撮っとけ。
2時間近く歩いただろうか。
分かれ道にきた。
両方ともモンタンヴェールへ向かう道だ。
左は近道だが、危険な箇所がある。
もとからそのつもりだったが、右の道を進んだ。
ここからようやく登りになる。ジグザグ道を登りきると、


シャモニ針峰群
            
シャモニ針峰群から伸びる尾根にでた。
そして、それが姿を現した。

ドリュだ! ドリュの西壁

 
ついに来た   ドリュをバックに

突然、涙があふれたきた。
今まで山を見てこんなことはなかった。

それくらいこの瞬間を待ち続けたきたんだ。

そして顔を右に向けた。グランド・ジョラス北壁


またまた涙があふれてきた。
とても幸せな気持ちである。
今日こんなにいい天気を与えられたことに感謝した。

少し下り、ザックを下ろし、休憩する。
11時10分。まずはじっくりドリュを眺める。
西壁は高度差が約600mあるらしいが、こんな所を登る人がいるんだなあ。
正に絶壁だ。
そしてその右端の稜線がボナッティ岩稜、
あのワルテル・ボナッティが今からちょうど50年前に
たった一人で6日もかけて登ったルートだ。
稜線とはいうが、垂直に近い。
こんなところを50年も前に単独で制覇したボナッティを改めて尊敬する。

次はグランド・ジョラス北壁だ。
メール・ド・グラスの奥、かなり遠いが、あの屏風のような壁がそそり立っている。カメラでズームを一杯にして覗く。
大きい。
手前の峰が邪魔して壁全体は見えないが、ウォーカー側稜もよくわかる。
これを見るためにはるばる日本から飛行機に十何時間も乗ってきたんだなあ。ほんとに来た甲斐があった。
ここでは1時間以上も過ごした。
12時35分 モンタンヴェールへ向け出発。
後は下るだけである。
赤い花の中の道を下り、
13時08分 モンタンヴェールに到着。
さっきよりもドリュが大きく見える。
しかし壁の上半分に雲がかかっている。
グランド・ジョラスにも雲がかかっている。
これから日が西に傾いてきて
ドリュ西壁、グランド・ジョラス北壁にいい光線があたるはず、
そのシャッターチャンスが来るのを待つことにした
待つ。しかしなかなか雲が切れない。
3時間以上待った。もう夕方の4時だ。
日はまだ相当に高いが、帰りの電車の時間が気になる。


ようやくグランド・ジョラスの雲が切れた。


今しかない、とフィルムが無くなるまでシャッターを切った。
残念ながらドリュの雲は切れない。


あきらめて下りの登山電車に乗り込んだ。16時50分。
車は満員だ。
ごとごととゆっくりと下っていく。
いろんな言葉が飛び交っているが、さっぱりわからん。ドリュよさようなら。
また来るぞ。
17時すぎ シャモニに到着

まず、サン・ミシェル教会へ行く。
山行きが無事終了したことを感謝した。

ホテルへ戻る。
夕食にはまだ早いのでシャモニの町中を散策する。
平日なのににぎやかだ。さすがに世界的なリゾート地だなあ。
ようやく夕食の時間になった。
昨日と同じく、ホテルのレストランだが、
昨日の変なウェイターの兄ちゃんはいない。
別の人を呼び、注文する。
昨日があまりにヘビーだったので、今日は軽めにしよう。
サラダ、チーズフォンデュ、オレンジジュース。アルコールは抜きにした。
初めてのチーズフォンデュは美味かった。
6月24日 シャモニ→パリ
朝4時ごろ起床。
外はまだ薄暗い。身支度を整え、重たいザックを背負って外へ出た。
まだ街灯がついている。
列車の時間までまだしばらくある。
少しずつ日が昇ってきているようだ。
シャモニ南側の赤い針峰群に日が射し始める。
駅越しにはシャモニ針峰群が見える。






6時07分
シャモニ出発  

名残惜しいが、いよいよお別れだ。でも本当に来てよかった


6月24日 13時過ぎ パリ着。市内観光後、同地泊。
6月25日 終日パリ市内観光後、同地泊。
6月26日 パリ発。
6月27日 福岡着