2006年2月 大山月例登山
2月11日(土)〜12日(日)

八合尾根へ向けて出発。小屋より20分登った所より撮影(2月12日AM7:25)
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山域
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大山 八合尾根・七合尾根 |
日時 |
2月11日(土)
2月12日(日)
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参加者
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担当 : 城代(CL)、宮元(装備)、原田俊(SL)、林(記録・会計)
※食料担当の佐伯氏仕事で不参加
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目的・コース |
八合尾根(偵察)
七合尾根
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記録 |
2月10日 金曜日 20:00小月ホンダ/小月IC→21:00鹿野IC(城代合流)→庄原IC→ |
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八合尾根(偵察) |
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2月11日(土)天候(曇り)01:00下山着・02:00仮眠 5:20起床 |
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7:05下山出発〜7:37大神山神社〜下宝珠〜林道〜 |
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8:35 (1:30) 元谷小屋着9:40 テント設営10:508合尾根ルート偵察
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元谷 2月11日AM10:40 |
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本日の行動予定は元谷から小屋裏の小尾根を詰め上部で八合沢へトラバースし八合尾根のルート偵察。元谷は生憎の天候・ホワイトアウトで視界が悪い。北壁方面はまったく見えない。 |
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八合尾根の偵察予定だが順調に行動できればそのまま夏道〜弥山山頂までとの思いがあるので
登攀具は各自準備して出発する。(天候も明日の方が悪くなりそうな予測 |
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雪量は十分多く尚且つサラサラの新雪で足元が締っておらず歩きずらい。
ワカンを履き、4人でラッセルを交代しながら高度を上げ、
八合尾根の取り付きを探すが視界が相変わらず悪く一面真っ白でまったく確認が取れない。25000図と周囲の地形・過去の記録図そして勘で八合沢のトラバース地点を探す。
CLが「トラバースして八合沢に下ろう」と言ったが他の3名は確信が持てず、
もう少し上部へ詰める事にした。(実はここで沢をトラバースすればよかった。) |
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先行パーティーのトレースを利用させてもらうがやけに歩幅が長くて歩き辛い。
そして、高度を上げ過ぎ、すでに別山尾根に取り付いて居ることに気が付く。 |
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11:50 (1:00) 別山尾根下部 登り過ぎたため一時行動中止。
行動食を摂り一瞬でも北壁が晴れるのを待つ。2人組パーティーが下ってくる。
別山尾根の取り付き(バットレス?)が判らなかったとのこと。
城代CLが尾根の取り付き付近の地形情報を説明している。 |
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鹿児島黒陵会の赤旗付き竹標識が数箇所設置されている。気温−2℃ |
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12:10 (0:20) 別山西壁、視界の回復が期待できないので尾根を少し下り
斜面をトラバースして八合沢方面に進む。
辿り着いたのは別山・西壁ルートの取り付きの急な岩稜だった。
城代CLがさらに岩稜から沢に下ろうと試みるが急斜面の谷の底の様子が不明で、
明らかにルートミスなのであきらめて引き返す。 |
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12:40 (0:30) 八合尾根取付
尾根を下り谷をトラバースし八合沢を詰める。
漸くルートに確信が持てたところで、ワカンを脱ぎアイゼン装着。
八合尾根の傾斜は更にきつくなり左のドーム状の岩壁直下まで這い上がる
ここで城代-宮元・原田-林の2組で登攀準備をし先に城代CLがトップで登攀開始 |
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宮元さんが城代さんを確保。
城代さんは右に回り込んですぐ直上し黄色の防寒服姿が見えなくなった。
しばらく3人・無言でザイルの動きを見まもる。
ザイルの動きが遅い事から、雪が締まっておらず苦労してる模様。
30分位経過してようやくCLからのコール。良く聞き取れずこちらからも何度も確認のコールをする。結局 CLが1ピッチ登り切って「中止・登ってきたらダメだ。これから降りる」と言っているのが漸く判明する。懸垂でCLが降りてきた。雪が脆くキックステップが崩れて決まらず苦労したとの事。「現在の時刻と天候・雪量・雪質等の悪条件を考慮すれば全員が稜線に抜けるのは無理」との判断 |
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八合沢から元谷への下り(14:29) |
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14:15 (0:30) 偵察終了
全員同じ考えだった。納得の上、本日の偵察はここで終了(中止)。下山する。
14:30 (0:45) 八合沢
15:00 (0:30) 元谷テン場着 ホエーブスで暖をとり今日の行動の反省点と明日の行動計画を練る。
(本日の行動時間 約 3:20) 21:30就寝
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記録 |
2月12日 七合尾根 |
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日曜日 5:20起床
昨夜新雪が20cmぐらい降り積もっていた。天気は比較的穏やかで風もない。
朝から回復する様子。
ただ気温の冷え込みがなく、昨夜の新雪で雪面の条件は更に悪化しているだろう。心配だ
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天候(曇り)
7:15元谷より八合尾根へ向け行動開始。

八合尾根へ向けて行動開始(7:23)

行者谷より別山方面(7:25)
昨日の偵察で八合尾根の地形は把握できたので、本日は予定通り八合尾根を目指す。
原田SLから「行動時刻を12時までとしそれ以上は登らず、その時点で引き返す」との打ち合わせ。行者谷で2人パーティーが下ってきた。
「昨日より雪質が脆い。気をつけろ」と言ってた。
昨日以上に表層が不安定な気がする。
八合沢をワカンでラッセルしながら昨日の最終偵察地点を確認できる地点に到着する。
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昨日間違った別山西壁取り付き(8:02)
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8:15 (1:00) 八合と七合尾根分岐
昨日、誤って進んだ別山西壁と八合尾根に取り付きの岩壁の地形が良く見える。
昨日判らなかった周辺の地形を観察し脳裏に叩き込む。デジカメで画像を保存する。
4人供無言で暫く、これから行動予定の八合尾根の斜面の状態をながめ、登攀ルートをたどった。原田SLが「八合尾根の斜面の雪質状態が昨日以上に悪化している。八合に取り付いても稜線を12時までに抜けられるか確信が持てない。」
「八合尾根の登攀は本日は危険要因が多い、よって七合尾根に行動変更する」事を提案。
城代CLは「昨日登攀した状況から判断して今日は八合尾根の最初のワンピッチさえ無事登れれば後は大丈夫だろう。」ルート変更するか予定通り八合尾根を登か、皆の判断を仰ぐ。
4人で暫く協議する。
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8:30七合尾根
城代CLが八合尾根の登攀中止を決定し本日の目的地を七合尾根に変更する。

七合尾根より昨日取り付いた八合尾根登攀地点(8:36)

七合尾根登攀

七合尾根登攀
行き先変更が決まれば、気持ちも引き締まりモチベーションが高まる。
行動食を口に入れ即行動開始。傾斜がキツくなり、ますますラッセルが厳しい。
やがて雪質が変わったのが判る。
ここで、七合尾根の途中から注意して眺めると七合尾根から八合尾根の取り付きのルンゼには頻繁にチリ雪崩が有り、さらに、その上方の雪面では表層雪崩が発生していた。(原田CLの判断は正しかった。)新雪の下の氷雪が締まってきた。アイゼンに履き替える。キックステップが利き始めた。高度を上げる。右斜面に張り出した雪庇の踏み抜きに注意。尾根を忠実に辿り潅木伝いに稜線をめざす。稜線に近ずくにつれ風が強くなって来た。粉雪も舞っている。10:40(2:10) 夏道合流 夏道の目印である標識棒に辿り着く。稜線上は強風であられが顔面にあたり痛い。弥山山頂には行かず六合避難小屋から元谷へ下る事にする。下り始めて左にすぐ草鳴舎ケルンあり。
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11:40 (1:00) 六合避難小屋
避難小屋が雪で埋まりうっかり通過・下り過ぎた。
周辺の標識を探し下り過ぎを確認し登り返す。
シリセードで一気に元谷へと思うが、今日は滑りが悪い。
(元谷小屋までの下りの状況)七合沢からの表層雪崩が別山沢の出合いまで達していた。
今朝我々が付けたトレースをまともに埋めている。
デブリから推測して50cm位埋まっていた。

シリセードは諦めデブリの中を下る。

12:15 (0:35) 元谷小屋
13:05 テント撤収
下山開始 3人組の一般登山者と一緒になる。
彼らは夏道から我々が七合尾根を登ってくるのを見てたとの事。
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大神神社に到着。 |
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13:55 (0:50) 下山駐車場着
共同装備チェック(本日の行動時間 約 5:35)
14:20 下山出発→R181→R183→庄原IC16:25→鹿野IC18:25(城代氏下車)
小月IC19:30
19:40 小月ホンダ19:40着 解散
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感想: 今回の山行は目標だった八合尾根は断念せざるを得ない条件だったと思いますが、
充実した山行ができたと思います。
冬山の現地での気象・自然条件を予測・判断し計画通り実行するか、中止変更するかには
長年の経験がなければできない事を今回痛感致しました。
行動第一日目(2/11)で現地の偵察をした事。
現地の状況が把握でき「無理な行動をしなかった」事が結果的に二日目(2/12)・
計画通り八合尾根を実行に移すのか変更するのか判断するのに大変重要だったと思います。
この度 城代CL・原田SL両氏の的確な状況判断で八合尾根の危険を回避し
七合尾根で充実した行動が出来た事を感謝致します。
冬山はとにかく短いシーズン中一回でも数多く山に入り、
経験を積み技術の向上に努めるしか上達の道はないと感じました。 《 記録:林 》
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