《日時》7月18(土)〜20日(月)

《山名》伯耆大山(一向平−大休峠−甲ヶ山−三鈷峰)

《参加者》細川(CL)､宮元､市橋(会計)､藤田ョ(食糧)､林､松本､松原､
　　　　　　月例登山担当：山�ｱ(装備）､藤井､播磨(記録)､京野：計11名

＜行程＞

７月１８日（土）
先発隊９:00小月ホンダ出発＝小月ＩＣ＝21:56吉和ＳＡ22:06＝1:00蒜山ＩＣ＝1:40一向平キャンプ場

7月19日（日）
4:50起床〜6:00一向平キャンプ場出発〜6:20大山滝吊橋〜6:45一の滝〜7:14大休口〜8:45大休峠避難小屋9:00〜9:40矢筈ヶ岳〜10:52甲ヶ岳〜11:33大休止11:52〜12:20矢筈ヶ山
12:56大休峠避難小屋泊

7月20日（月・祝）
4:00起床〜5:15小屋出発〜6:40親指ピーク〜8:06ユートピア小屋〜8:29三鈷峰〜8:40ユートピア小屋〜10:15親指ピーク〜11:15大休峠避難小屋11:34〜12:19地獄谷分岐〜13:30一向平キャンプ場13:45＝14:19蒜山ＩＣ＝14:30蒜山ＳＡ＝17:10安佐ＳＡ＝19:20小月ＩＣ＝19:30小月ホンダ着

7/18日：小月IC〜蒜山IC〜鏡ヶ成〜一向平

例年だとこの時期、梅雨明けであるが、今年はまだ明けそうにない。梅雨の真っ只中の山行となる。週末の天候は雨模様の優れない天候となるようだ。7月18日、先発隊5名が9:00に小月ホンダに集合し、出発する。幸い雨はまだ降っていない、曇り空の中を出発する。高速道を順調に走行し、蒜山ICで一般道に入り、鏡ヶ成を経て大山環状道路一向平へ15時過ぎに着く。キャンプ場でキャンプの受付を済まし、テントを張る。広いテントサイトにテントは我々だけである。静かなテント場で快適である。夕食まで時間があるので大山滝を見に全員で出かける。時間はまだ早いが夕食の支度をする。

　後発隊の来るのは日が変わって、19日の午前1時頃の予定である。

7/19日：一向平野営場P出発6:10→大休峠8:45着→大休峠8:55発→甲ヶ山7:49→大休峠12:58

今朝、夜中に着いた後発隊には申し訳ないが夜明けと同時に起床、出発準備をする。朝食を摂った後、5:56出発。昨晩、強い風で樹林の枝が大騒ぎしていた。強い雨が降ったのかと思いきや、雨はほんの僅かで、木々の枝の振れる音であった。辺り一面千切れた小枝が落ちている。幸い上空は高曇りで、なんとか雨は避けられそうだ。先ず、大休峠に向かって進む。

今日宿泊予定の大休避難小屋に宿泊の装備を置き、甲ヶ山に出発する。上空は強い風が吹き荒れているが、甲ヶ山までの道程はほとんど高いブナの生い茂る中なので、強風をまともに受けることは殆どない。一部、顕著なピーク地点、矢筈ヶ岳や甲ヶ山ではまともに風を受けるので姿勢を低くして通過した。矢筈ヶ山9:40。風は一向に収まる気配はない、西からの強い風で、東側の斜面に入ると風下になり、風は弱くなる。振り返って斜面を見ると東西に隔てられた尾根で東側と西側の斜面で顕著なことが判る。西側の斜面では樹林の大きく揺れているのがよく判る。やがて、樹林が灌木になり、甲ヶ山の東斜面取り付きの基部に出る。ここからは斜面の基部を右端へトラバースし、岩場の右側を一気に直上する。斜面は東側であるため風下側で風は緩く、幸いである。上部の稜線に抜ける辺りで風が一気に強くなるのではないかと皆に注意する。頂上に抜けたところから、一気に風が強まり、時々吹き飛ばされそうな強風に遭う。ここまで我々以外の登山者に出会うことなく山は我々だけで逢ったが、頂上の向こう側、船上山方面から大きな荷を担いだ単独行の登山者に出会う。今日の予定はこれより先の勝田ヶ山まであったが、次第に雲が低くなってきたので、ここより大休へ戻ることにする。来た道を引き返し、雲は次第に低くなり、大休峠に着いた、とたんに雨がぽつりぽつりと落ち出す。整理体操の後、小屋に入り、一息入れた頃、更に雨あしが強くなりやがて大雨になる。勝田ヶ山まで足を伸ばしていたとすると、今頃はびしょ濡れで難渋していたことだろう。

帰宅後、風の強さと風速の関係を調べた結果、今回の強風は樹木全体が大きく揺れる強さであり、これは風速14〜17m/s(風力7程度)の風であることが判った。参考資料を以下に示す。入山前の天気図では北日本側の日本海に低気圧があり、其の南には梅雨前線が連なっている。この低気圧が台風並に発達しながら太平洋側に通過し、そのため気圧傾度が大きくなり、今日の強風をもたらしたと思える。大休峠避難小屋泊。

＜日誌＞・・・・播磨（記録）

7月19日（日）

ヒグラシの降るような声で目が覚めた。後発隊は前日18日の20時すぎに小月ホンダを出発し、深夜2時近くに一向平キャンプ場に到着。すでに就寝している先発隊を電話で起こし、場所を教えてもらってテントに入った。テントをたたくような音がずっと聞こえていたので「雨だな」とおもっていたのだが、外にでてみると降った形跡はない。パンとコーンスープ、納豆、漬物の朝食をとる。

共同装備や食糧を分け、パッキングをすませて6時にキャンプ場を出発。滝への整備された遊歩道を歩いていく。急な階段を下って橋を渡り、しばらく歩くと一の滝の標識があった。先発隊は前日にこの一の滝まで来て観光したらしい。

大休口の分岐、標識の付近で休憩。この先の登山道は気持ちのよいブナの樹林帯で、風は通らないが曇り気味でそれほど暑くない。それでも風の通るところへ出ると、「涼しーい」とほっとする。

傾斜がゆるくなり峠に近づいた辺りで右手に水場があり、細い管を通して水が出ていた。水があるかどうか怪しいとのことで、水は一人2リットル、加えて山崎さんがおいしい水をたくさん担ぎあげてくれていたので、ここの水は今回使わなかった。

3時間弱で大休峠避難小屋に到着。しっかりとした感じのきれいな小屋だ。中をのぞくと先に到着したメンバーがくつろいでいた。荷物を降ろし、水、行動食、雨具など必要な装備だけを持って出発する。荷は軽くなったけれど、道は山らしく急なのぼりになった。両側にヤマアジサイがたくさん咲いていて、青い花が美しい。

40分ほどで矢筈ヶ山山頂に到着した。たいへん眺めがよく、日本海まで見える。風がかなり強くて立っていると踏ん張らないといけないくらい、「風速10メートルくらい？」などと風の話題になった。これから向かう甲ヶ山はとんがっていて急な岩場に見え、あれを登れるのか不安になるような姿だ。

尾根道は強風のため両側が切れているところは慎重に行く。「風は息をするから、ちょっとおさまるのを待ってから行くとよい。」と細川さんにアドバイスをもらった。あまりゆっくり見る余裕はないけれど、クルマユリやクガイソウなどの花が咲いていた。

一番難儀したのは甲ヶ山近くでガレた斜面のトラバース。少しの距離だけれど、トラバース苦手の私は足がすくんでえらく時間をとってしまった。ロープを伝って下へ一旦降り、登るほうがよいようだった。ここを通過すると、山の斜面いっぱい薄紫のギボウシが咲いている。感動するが、登りは急な岩場で相変わらず緊張する場面が続いた。このあたりは風が通らないが、山頂に出るとかなり強風の可能性があるので、山頂に出て様子を見てから勝田ヶ山まで行くかどうかを決めるとＣＬ細川さんから通達があった。

つきそうでなかなかつかない山頂にやっと出た。狭い山頂はここも抜群の眺めだが強風で立っているのはちょっと怖い。ザックを下ろしてひとまず座り込んだ。勝田ヶ山方面から単独の男性が来られたが、途中危険な箇所があるらしい。風も強いし、勝田ヶ山は行かないことにして、引き返した。

小屋に帰り着くころに小雨が降り出したが、これがだんだん大降りになり、午後から夜にかけて「これでもか」というほど降り続いた。風も強く、雷も鳴り出したので、小屋についてから降りだすというタイミングに感謝した。

コーヒーを入れて、菓子やおつまみなどをとりながら、ゆっくり過ごす。夕食は、焼豚のソテー、サラダ、焼肉、すき焼き、と外は嵐の山中とは思えない豪華さで、雨の日にはありがたいトイレつきの避難小屋で不自由なく過ごした一晩だった。

7/20日：記録：細川
4時起床。大休峠5:10→野田ヶ山6:07→振子山7:22→ユートピア避難小屋8:07三鈷峰8:40→大休峠11:15→一向平13:16着。

雨は上がっているが、昨夜の大雨で登山路はぬかるんでいる。ここからユートピアまでのルートは年々通る人が少なくなるようで、登山路は相当に荒れている。灌木を掻き分けて通過するところもあり、雨具を付けることにする。野田ヶ山までのなだらかな登りは、一部に水たまりもあり、又灌木が茂り、非常に歩きにくい。野田ヶ山を過ぎると少し歩きやすくなるが、登山路の両脇の小枝が所々、道を塞ぎ快適な道とは言えない。幸いまだ雨はまだ落ちてこないが、次第に雲が低くなってきている。先を急ぐ。野田ヶ山から少し下ると親指ピークの顕著な突起が認められる。親指ピークの岩場は沢山のロープが張ってあり、難なく通過できたが、ピークを下った、親指ピークの振子山側の付け根の両側が大きく崩れ、特に西の甲川側には数百メートル、一気にそぎ落とされている。又左手の東側もブッシュの下が大きく崩れ一人一人慎重に通過する。難渋と緊張の後、振子山の稜線上に出るとその向こうにユートピア避難小屋が明瞭になる。振子山から少し下り、最低鞍部から一気に灌木帯を直上するとその向こうがユートピアである。ユートピアから直ぐに三鈷峰へ歩を進める。三鈷峰に着いてしばらくすると、雨が落ち出す。

7月20日（月・祝）：播磨（記録）
朝4時起床。やみそうにもなかった雨がちゃんと予報どおりあがっている。予定を変更して、荷物を小屋においての三鈷峰ピストンとなった。ラーメン・うどんの朝食を済ませて、出発用意。リーダーの指示で、草木の雨露でぬれないように雨具をつける。外で待っていると、蚊がすごい！山崎さんが蚊よけのシールを皆に配ってくれ、帽子に貼り付けた。
登山道は昨夜の雨で川になっており、歩くのに苦労する。木や草につかまりながら、なるべくぬかるみを避けてあるいた。藪をかき分けて進むので、なるほど、晴れていても雨具をつけていなければびしょぬれになっていただろう。地味な野田ヶ山山頂を越えてぐっと下った。先には見るからに怖い痩せ尾根や親指を立てたように突き出た親指ピークが待っている。親指ピークは想像したように、とんがった山頂を乗り越えるということはなく、少し下の岩棚をトラバースした。ここはロープもついていてさほど問題なかった。ほっとしたのもつかの間、この先に最大の難関があった。
尾根の両側が切れ落ちていて、西側は急斜面のガレ場、東側は木が茂っているもののやはり急斜面で落ちるとただではすまなさそう。しかも狭い道は潅木に覆われて足場が見えない。おりしも西斜面に起こった落石が「こんなふうに落ちるんだよ」とシミュレーションしてくれる。細川さん、林さんにほとんど手取り足取り状態の指示をいただいてやっとの思いで通過した。ほんの数歩の区間だがかなり時間をとった。ベテランメンバーの方々は慎重を期しながら問題なく通過。この後しばらくロープつきの岩場など厳しい道がつづくが、やがて尾根の向こうにユートピア小屋が見えてきた。象ヶ鼻への斜面は薄紫のクガイソウ、ギボウシ、シュロソウ、ツクシコゴメグサなど花一杯。昨晩、ユートピア小屋に泊まったという一隊とすれ違った。
斜面を気分よく登っていると、「どこへ行ってるのか」と後方から声がかかる。道をまちがっていたらしく、引き返して北へ、少し下ると立派な避難小屋があった。ここからなだらかな道を三鈷峰へ向かう。
一面のクガイソウは輪生の葉が揃っているため目がちらちらする感じで面白い。
途中、右手に見える「勝間ケルン」を教えてもらった。ほどなく三鈷峰に到着後、大山の迫力ある山壁などの眺めを楽しむうち、雨が落ちてきたのでいそいで記念撮影をすませ、引き返す。
雨風になっては、あの痩せ尾根を通過できるかどうかと不安になるが、雨はすぐに小止みになった。ユートピア小屋でも足を止めず復路へ。例の危険箇所では、細川さんがスリングを張ってくださった。復路のほうが足場がわかりやすい気がしたのだが、やはりうまく次の一歩にすすめず思いっきりスリングに体重をかけてしまい、潅木ごと下に落ちるのではないかとひやひやしながら通過した。
帰りは同じ道でも往きと違った感じがする。こんなところ通ったかな、と言い合いながら長い下りを歩いた。水はほとんど引いていて、歩きやすくなっていた。大休峠避難小屋で置いていた荷物をまとめ、下山開始。
これまで歩いてきた道に比べると心休まるなだらかな道だ、と安心するのは少し早かった。
昨夜の大雨で、往きにはなかった川が登山道をよぎっていた。下手に石の上を渡るとひっくり返ったりして被害を大きくしそうだったので、少々靴に水が入るのを覚悟で水の中を歩く。
雨の降っている最中だったら、こんなものではなかっただろう。
大山一の滝も雨で水量が増したとみえて、たいへんな迫力だった。展望台で少し眺めて、下山路に戻った。最後の難関は、吊橋を渡った後の階段登り！狭い幅の急な階段がこれでもかと続き、下りに慣れていた足にこたえた。

降雨や風といった気象条件次第で同じコースでも全く状況が変わる。山に限ったことではないけれども、天気や地形を考え合わせて適切な行動ができることの重要さを教えられながらの山行だった。