個人登行 平成28年5月 中央アルプス(長野県)

・池山尾根〜空木岳2864m〜宝剣岳縦走
・平成28年4月29日〜平成28年5月3日(5日間)
・参加者:4名 市橋(担当・食料)・藤森(会計・ボッカ)・田村(装備・ボッカ)・羽田野(記録・ボッカ)
・交通手段:車 下関IC〜駒ヶ根IC〜池山林道終点P  往路12h 帰路14h 往復1600km 
【行程】

4/29(金)晴れ
430K2〜下関IC〜山陽道〜名神〜中央道〜駒ヶ根IC1620)池山林道終点P到着【行程12h】
1645)登山口発〜池山ハイキングコース〜(1720)タカウチ場にてタクシーTEL案内控える
        「赤穂タクシー0265-83-5221
1830)池山避難小屋にて泊(水・トイレ有)【行程2h】

縦走初日 (4/29晴れ
熊本大地震から15日目のGW初日。下関山岳会数名は災害支援の為、熊本へ向かっている。
九州方面へ向かう車の列が多く見かけられた。
今回の目的は残雪の空木岳〜宝剣岳縦走である。
ほとんどの登山者が木曽駒ヶ岳からのルートをとるが
千畳敷は雪崩の危険性が高く入山規制が厳しい。
過去には入山出来なかった経緯もあり
必ず入山出来る池山尾根からの空木岳ルートとした。
(縦走の割合としては90%が木曽駒岳からの縦走で逆コースは10%だそうだ。)

登山口までの池山林道はかなりの悪路である。

林道終点駐車場は15台程度のスペースがあり、既に5台程とまっていた。
雪化粧の南アルプスが駐車場から見渡せ、気持ちが高まってくる。
■(1645)登山口出発(1365m)芽吹き始めたばかりの落葉樹の登山道をゆっくりとすすむ。
ヤマザクラがまだ咲いており、ヤマツツジのつぼみが紫にふくらんでいる。
■(1720)タカウチ場分岐 赤穂タクシー電話番号の案内板あり。
(ここから電話し下山すると、丁度良い時間にタクシーが林道終点に到着できるそうだ)
■(1830)池山小屋着。(水・トイレあり)雪はないが外は肌寒い。 


池山小屋

樹間から3日目に目指す「桧尾岳・熊沢岳」が池の平カール越しに望める。
先客が一組あり、小屋内にテントを張って既に寝ていた。
(彼らはここにデポし200起床300出発930空木岳山頂〜下山のコース)満天の星だった。

5/1(土)晴れ〜空木岳山頂付近ホワイトアウト
400)起床〜(530)池山避難小屋発〜(720)大地獄小地獄〜(845)迷尾根
1320)駒石〜(1440)空木駒峰ヒュッテ〜(1505)空木岳〜
1600)天候急変再び空木駒峰ヒュッテ泊(水・トイレ無し)【行程11.5h】

縦走2日目 (5/1晴れ〜暴風(山頂付近)
■(400)起床 水場はツララがついている。透き通った空気の中柔らかい光が心地よい。
■(500)池山小屋出発。朝日を浴びたダケカンバの林が眩しい。
        
すぐに分岐で遊歩道左と登山道右となっているが、時間は変わらない。
         登山道をジグザグに進むとシラビソ帯に変わっていき合流点「尻無1970m」で休憩
■(640)マセナギ この辺りになると、倒木や根元から曲がった針葉樹が目立ってくる。
■(720)大地獄 積雪は全くなく、木製ハシゴのおかげで名前程ではなく安心して登れた。
■(820)小地獄 氷が登山道に点在するようになってきたが、慎重にすすめば心配ない程度だった。
         はしごやくさり場など、整備されている。
   
大地獄〜小地獄

■(845)迷尾根 ヨナ沢の頭まで南側を巻いていく。積雪が現れてくる。■(1100)ヨナ沢から                      次の分岐点まで木々が低くなってきた。
      ザラメの積雪を踏みしめる
振り返ると東には南アルプスが見えてくる。
      鋸岳のラインがわかりやすい。

■(1120)斜度が高くなってきた為アイゼン装着(池山小屋3時出発の下山する組とすれ違う)
         ここまで出会ったのは12名の6組程度でGWにしては静かなルートだ。

此処からアイゼン装着・・・・・・・・遠く北アルプス方面に笠雲が・・・・。

樹林限界に近ずく・・・・・空木平避難小屋
■(1210)分岐点(空木岳と空木平避難小屋)
         宝剣岳までの稜線と、南アルプス全容が見渡せるようになってきた。
     ※宝剣岳の向こうに小さなレンズ雲。
■(1230)南眼下に空木平避難小屋。
       駒石と空木岳山頂がようやく現れた。(山頂は近くに見えたが遠かった!)
■(1310)駒石 とにかく巨岩でひと際目立つ。南はのっぺりだが、北面はボコボコしている。
        雪景色の中に花崗岩の奇岩が点在するようになる。

駒石

駒峰ヒュッテが見えるが遠い

駒峰ヒュッテ
■(1440)空木駒峰ヒュッテにデポ 
        宝剣に面した急斜面に木製のテラスが張り出しだして、かなりの浮遊感が特徴的だ。
■(1505)空木岳山頂(2864m)
        ヒュッテから山頂までは斜度がきつく、今回初めて緊張する登りである。
       南アルプス方面の展望が素晴らしいが、
     北アルプス方面からの重たそうな雲が近づいてくる為
駒峰ヒュッテで停滞することにした。

黒い雲が覆う空木岳山頂へ
■(1600)空木駒峰ヒュッテ泊(トイレ・水無し)
       ドーンといきなりの暴風によろける。一気にホワイトアウトとなり春山の恐ろしさを実感する。
       レンズ雲発生から4時間後だった。出入りは60センチ角の木製跳ね上げ式戸をくぐる。
       ヒュッテ内部は4帖程度の土間だけ解放されており、奥の部屋は鍵がかかっている。
       風が一晩中小屋をたたきつける中、室内でツエルトを張り、暖をとる。

5/2(日)暴風(体感風速1520m夕方まで)〜晴れ
300)起床〜(440)空木駒峰ヒュッテ発〜(500)空木岳山頂2864m〜(700)木曽殿山荘
810)東川岳2671m〜(1115)熊沢岳2778m〜(1350)大滝山2708m〜1450)檜尾岳2728m〜
1540)檜尾避難小屋泊(水・トイレ有)※冬季は水無【行程11h】

縦走3日目 (5/2暴風
■(300)起床 少し風が収まっている為、縦走を決行する
■(440)空木駒峰ヒュッテ出発 凍てついた朝だが、ライトなしでも薄明るい小屋は白く凍り付き、
      辺りはガスで覆われているが、昨日のトレースがはっきりと見える。
斜度のある山頂を登り詰める

朝4時30分出発準備〜ガスの中を山頂へ
■(500)空木岳山頂(2864m)あたりは何も見えない。
         花崗岩も道標も白く凍てつき、岩に赤くペイントされたルート表示がぼんやりとしている。
         山頂から木曽殿越しまでの下りは急峻な岩場の連続で昨日の大地獄とは比べものにならない程の
      緊張感が漂う。
西からの風が吹き始める。風速1520m。
      アイゼンでのクライミング。時折ナイフリッジを渡る。

         巨岩脇の切れ落ちた雪の斜面を下る時は今回一番の緊張するポイントだった。
      岩と氷の隙間を掴み、アイゼンを信じる。ピッケルを信じる。ザラメ雪が滑らないように祈る。
      
わずか15m程だが、今でも思い出すと震えがくるが、自信が少しついた。

山頂着・・・・・・5時出発
      
■(700)木曽殿山荘横の避難小屋で休憩 小さな広場にヘリポートがある。
      
東斜面にはいくつかのドラム缶が50m程吹っ飛んでいる。
      
扉が開いており、小屋内部にもどっさりと雪が侵入しており、とても一晩は過ごせない感じだ。
■(810)東川岳(2671m) 登り途中からアイゼンを外す。強風で雪がない。
      
ハイマツは足首までしか成長していない。小さな氷の粒が顔を容赦なくシバキ上げる。
      
視界はあまりなく、身を隠せるような場所もなく、ひたすら歩き続ける。
■(1115)熊沢岳(2778m)フードは外せない。わずかだがガスが消え始め視界が広くなった。
      ハイマツと岩も氷が解け始め元の色に戻っている。稜線の東は雪庇に亀裂があり危険である。
      強い風が吹き抜ける岩稜をさらに進む。
ヘリコプターが木曽殿越し上部を偵察している。
      手を振りたくなるが、振ってはいけない。

遠く檜尾避難小屋を・・・まだまだだ!              ヒュッテへの雪の斜面アイゼン装着にて下る。

■(1350)大滝山 登り詰めると檜尾岳かと思ったら、まだ一つ向こうの山だったのでガックリ
     遠くに本日の目的地である檜尾避難小屋が見える。まだまだだ。

■(1450)檜尾岳(2728m)背後に三ツ沢岳が大きくそびえる。
     正面に桧尾避難小屋があるが
雪の急斜面を下る以外に道はない。アイゼンを装着し慎重に下る。
       左は切れ落ちている為、出来るだけ右側を進み、尻セードで一気に滑る。

ヒュッテ到着            

■(1530)檜尾避難小屋(トイレ有) 赤い丸い屋根が疲れた体にとても優しく映る。
       日当たりが良い為、周辺には雪がない。内部は広く20人は泊まれそうだ
       棚には寝袋、マット、コッフェル、ガスなど整備されており、とにかく快適だ。
       水、米、ワイン、非常食などが並べてあるが、登山者が置いていったもので
       運営者側としては「置いて帰らぬよう」注意書きがされている。雪で水を作る。
       悪天候での入山規制だろうか、今日はどちらのルートからも他のパーティに出会っていない。
       なんとこの稜線を独占である。
       風は落ち着き、視界は開け、夕日が空木岳をひと際美しく照らしている。贅沢な時間。
       明日は宝剣・木曽駒ヶ岳(中岳)まで行くと時間的に無理そうなので、極楽平から下山する事に決定。
     
快適な小屋で早々に就寝。

5/3(月)晴れ
400)起床〜(530)檜尾避難小屋発〜(600)檜尾岳2728m〜
815)濁沢大峰〜(1015)島田の娘〜(1050)極楽平〜(1110)三ノ沢分岐〜
1130)再び極楽平
1230)駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅着2612m 【行程7h】

        休憩中「赤穂タクシー」に「しらび平駅」まで予約(タクシーは予約制)

1330)千畳敷駅発730秒「しらび平駅」着
       「赤穂タクシー」にて「池山林道終点P
1530)温泉≪露天こぶしの湯≫広さ・湯・景観・混み具合すべて良
1700)菅の台駐車場にて泊

縦走4日目 (5/3晴れ
■(400)起床 外は既に薄明るい。風は収まっており、晴れの雰囲気が漂う。
         430頃には八ヶ岳・甲武信ヶ岳・南アルプスが青く浮かびあがってくる
        農鳥と塩見の間には雪化粧の富士山が初めて現れてくれた。
        薄雲に覆われてご来光は望めなかったが、満足である。
■(530)檜尾避難小屋発 まずは檜尾岳山頂へゆっくりと登り返す

朝〜檜尾岳にてアイゼン外す       危険地帯は難なく通過


■(600)檜尾岳山頂 登り詰めると、昨日は全く見えなかった360度の大展望
        朝陽を浴びた御岳山・乗鞍岳が迎えてくれた。アイゼンを外し、ヤセ尾根をいくつも進む
■(815)濁沢大峰 地図には危険マーク。岩稜帯が続いているが比較的安全に登れる。


3日間踏破の尾根を振り返る。池山尾根〜空木岳〜東川岳〜熊川岳〜尾根が重なり合い近く見える
■(10102711m地点休憩 振り返ると、ずっと歩いてきた稜線と空木岳。
        皆よく頑張ったねと、穏やかな天気と贅沢な景観に見とれながら、ゆっくりと休憩する。
        昨日は強風で休憩すら出来なかった分を、この景観で十分に取り返した気がする。
        上昇気流にのったタカが一羽。山頂より高く飛んでいく。
■(1015)島田の娘(2858m)登山道の両脇にロープが張られている。
     極楽平はもうすぐだ
雪と砂利道を交互に進む。チチチッとイワヒバリが鳴いている。
島田の娘をすぎると平坦になり、・・・・・・・極楽平らへ
■(1050)極楽平 スノーボーダーが一人。左奥中岳山頂には沢山の人。久しぶりに人を見た。
       雪庇が危険な為、奥を見下ろす事が出来ない。
     サギダルの頭で宝剣は遮られているので
ここで下山の予定だったが、宝剣岳手前まで足を延ばす。
■(1110)三ノ沢分岐 間近に宝剣岳を仰ぐ。黒くてギザギザしている。
     人を寄せ付けないような圧倒的な威圧感。
はしごはなく、クサリが少しある。
     雪はほとんどついていなかった。

雪渓を行くと宝剣岳の岩場を目前に・・・・此処から引き返し、極楽平らからロープウェー乗り場へ下山する事にする。
■(1130)再び極楽平 雪の千畳敷カールを下る。登山道は雪に埋もれておりアイゼンを装着。
       切れたった雪の淵を覗くと、スキー板を背負って直登している人が小さく見える。
       かなりの高度感と斜度だ。赤い千畳敷駅周辺には沢山の観光客が小さく動いている。
       駅に向かって右はスキー客用スペースなので左「サギダルの頭」直下を斜めにトラバースしていく。
       湿ったザラメ雪が時々滑る。一歩一歩ピッケルを突き刺しながらゆっくりと進む。
       いたるところに大きく雪が裂けており、緊張しながらクラックをまたぐ。
       ほどほどのところまで下りると、あとは尻セードで一気に下った。
     今までで一番長くて実に楽しい。

急斜面を慎重に下山する。・・・・・シリセードを傾斜がやや緩くなった所から
■(1230)駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅着2612m  
       縦走終了。見上げると、白と黒の千畳敷カールの光景がとにかく美しい。
       陽の照り返しでかなり暑い。藤森さんが両手にソフトクリームを4つ持ってきてくれて
       カールを眺めながら、4人で充実した終わりの時間をゆっくりと味わいました。終わり
ロープウェー乗り場から見上げる。

5/4(火)晴れ〜大雨強風〜晴れ
230)起床〜(300)菅尾台駐車場発〜駒ヶ根IC〜下関IC〜(1700K2着【行程14h】

感想
中央アルプスの雄「空木岳」から「木曽駒ヶ岳」への縦走は、切れ落ちた岩のアップダウンが多い。

GWは真冬の装備が必須である。避難小屋を利用していくのでテントは不要だが、ツエルト必須。

レンズ雲発生からのホワイトアウトや、強風での縦走、稜線を分ける雪と岩のコントラスト

連なる峰々を横に、稜線を歩く贅沢な時間と、春山の醍醐味を存分に味わった充実した山行でした。

参加者の皆様、本当にたくさんの指導をしていただき、ありがとうございました。